せっかく大きな器を用意しても、使われなければただの無駄遣いに終わる。しかし、それは杞憂だろうと考えている。あと一、二年以内、すなわち2002年までのあいだに、ボイスのトラフィックを大きく上回るデータトラフィックが出てくる。そして、個人のインターネット通信需要もB2B、B2Cの通信需要も急速な成長が見込まれていることは、これまで述べてきたとおりだ。とりわけ日本の場合、C2Cの需要が諸外国と比べて大きく拡大すると見られることは大きい。果敢にチャレンジする人々が増えている日本人は道具を使い込むのがうまく、少しの時間で縦横無尽に活用してきた。工作機械のNCマシーンは、日本では中小企業にまで急速に普及した。ロボットの利用率も世界一を誇っている。
コミュニケーションの方向をどういうふうに発展させていくか、大切な課題だと私は思います。また、同じように見えるものでも、違っているということがあります。たとえば、たくさんの人に一人が話をする「一対多」というとき、生身の人間なら、コミュニケーションは双方向です。何か言えば、誰かから反応が返ってくる。一対一であれ一対多であれ、それが自然です。しかしテレビ、出版、新聞などいわゆるマスメディアは一対多であっても一方向性という制約のもとにあります。つまり、コミュニケーションのモデルが少し変形しているのです。実際には、生放送中に電話やファクシミリを受けつけるとか、出版物に対して読者カードが送られてくるなど、完全に一方向性だとはいえませんが、厳密に見れば、テレビや出版など、そのメディア自体では双方向性は実現できていません。
ブロードバンドとは、高速大容量回線と訳されることが多いが、利用者にとっての利便性は定額・常時接続であっただろう。ヤフーBBの価格破壊により、日本は本格的なブロードバンド時代に移行していった。事実、日本におけるB2C(企業消費者間取引)型eコマースの雄である楽天は、ブロードバンドの伸長とともに売り上げを急激に伸ばしている。eコマースには、いま少し述べたB2Cのほか、原材料や部品など企業間取引であるB2B、さらに個人間取引であるC2Cと、大きく三つのパターンがある。このうちB2Cの市場規模は2兆1860億円(2008年)と推定され、年々拡大していることは言うまでもない。今後の成長に期待がかかる市場である。